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椎名あずみ
年齢:
123
性別:
女性
誕生日:
1900/10/31
職業:
お薬と雑貨の販売員
趣味:
空を見る 史跡・神社仏閣巡り
自己紹介:
おチビだけど、社会人。おチビだけど、会社員。
中学生とか高校生に間違えられるけど、お肌の曲がり角は過ぎたいい大人。
空を見上げるのが好きで、縄文~平安時代までの歴史が好き。
新聞の一面の下にある、広告記事(歴史本関係広告)は逃せません。
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3.11の震災で、私は帰宅難民になりかけた。
職場の先輩は、リアルに帰宅難民になった。

11日、JRが全面運転見合わせになり、私鉄も見合わせとの情報が流れ、帰れないことを悟った。
職場は品物が少し破損した程度。
小売業なので、食糧や水、生活に必要なものはある程度揃う環境。
段ボールを敷けば寒さもしのげるし、ということで職場に泊まることを決意。

本当は、歩いて家に帰れないこともないのだけれど、それをすると約5時間くらいは歩き通しになるし、大事なセール中だったので体力を使いたくなかったというだけの判断なのだけれど。
結局、会社側は危険なので足がない人は職場待機という指示を出した。

上司は職場から歩いて20分程のところに住んでいるため、帰宅は可能だったけれど、私たちがいるので留まった。
泊めてくれると言ってくださったけれど、小さなお子さんがいらっしゃるのでお気持ちだけいただいた。

職場の後輩で福島出身の子がいる。
彼女は家族と連絡が付かず、ずっと不安そうにしていた。
深夜、私鉄が動き出したと情報が入ったが、後輩女子たちは地震の恐怖と不安で全く動けない。
上司に「お前はどうする?家に帰るなら帰った方がいい」と言われたが、全く動けない彼女たちを放って、自分だけ実家に帰ることなんてできない。
彼女たちが動かないなら、私も泊まると返事した。
そこへ、福島から無事であるとの連絡メールが届いた。
家族の無事を知った後輩は安堵し、やっと体が動いた。

でも、一人暮らしの家に帰りたくない。地震が怖いし、不安だとつぶやいた。

確かにそうだ。
私みたいな図太い性格ならまだしも、彼女たちは繊細な女の子。
「国道探して歩けば帰れます」とか言っちゃう奴ではないのだ。
だからと言って、上司が家族の元に行けないのは辛いはずだ。
ならば。
「ウチにおいで!!二人とも!!!」

家族になんの許可ももらっていないけど、そうした。
私の部屋なんて整理されていなくて、誰にも見せたくないけど(なんたって隠れ腐女子だし)。
不安がっている後輩たちを見ていられなかった。

動き始めた私鉄に乗り、そこで家族に連絡。
家族は快く後輩2人を迎え入れてくれた。
兄や義理の姉は同情的で、「ひとりはやっぱり怖いよ」と言ってくれた。
母はベッドと寝巻を提供してくれたし、後輩2人の分まで朝食と昼食のおにぎりを用意してくれた。
甥っ子は、後輩2人に癒しを与えてくれた。

やっぱり家族は素晴らしい。


数日後、職場の先輩と倉庫で仕事をしていた時のこと。
「コトナさんさぁ、やっぱり私たち結婚しよう!」
いきなりだ。
さすがは私の先輩だ。

先輩は11日、本部で研修を受けていた。
東京のど真ん中であの地震にあった。
着慣れないスーツを着て、履きなれないヒールの靴を履いて、6時間かけて自宅まで歩いたそうだ。
報道であった、帰宅難民のひとりだ。
一緒に本部で研修を受けていた人たちと歩いていたそうだが、帰宅が深夜1時30分頃。
不安と恐怖の中、東京を横断したのかと思うと…。

先輩も地震で家族の有難さを感じたそうだ。
そして、自分が家族を作っていかなくてはいけないことも。
私も先輩の思いと、同じだ。
支え合える人を作らなくてはと思った。

「やっぱり、家族って大切だと思いましたよ」
「うん、本当に大切」
「今ある家族も大切ですけど、私たちは新しく作っていかなくちゃいけないですよね」
「そう。そうなんだよ!コトナさん!」
「仕事ばっかじゃダメですね」
「そう。仕事してる場合じゃないよ!主任!!私結婚するから!!!」
「結婚ですか~。じゃあ、新生活に役立つ物を贈りますね」
「よろしく!!」

途中、どこから突っ込んでいいのかわからない会話になったけれど。笑

後輩が泊まった朝に母に言った。
「私はみんなに良くして貰えて、本当に恵まれてる」

優しい家族と、愉快な同僚たちに囲まれて、私は本当に幸せ者だと思った。
 

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