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椎名あずみ
年齢:
124
性別:
女性
誕生日:
1900/10/31
職業:
お薬と雑貨の販売員
趣味:
空を見る 史跡・神社仏閣巡り
自己紹介:
おチビだけど、社会人。おチビだけど、会社員。
中学生とか高校生に間違えられるけど、お肌の曲がり角は過ぎたいい大人。
空を見上げるのが好きで、縄文~平安時代までの歴史が好き。
新聞の一面の下にある、広告記事(歴史本関係広告)は逃せません。
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久しぶりに「お話」を書いてみました。
小説ともいえない気がするので、「お話」です。

今回は「盟学シリーズ」の社会人編です。
しかも主人公は安藤じゃなかったりして。
むしろ盟学といってはいけないんじゃないか、というシロモノです。

主人公は社会人になった安藤の直属の上司である屋代(やしろ)。
安藤の在籍する神奈川営業支所営業4課B班主任。
彼の仕事っぷりを描いたものです。
そこに高田が巻き込まれている…感じ。

腐女子が好きな表現はほとんどありませんが、設定上男同士の関係のものなので、理解して頂ける方のみ、ご覧ください。


 「営業四課のお仕事」

 「屋代(やしろ)、すまないが頼みがある」
 1つ上のフロアにある営業1課の新井が屋代の目の前に立った。
 営業1課の人間が、営業4課の人間を訪ねるのは珍しい。
 屋代はこの珍しい人物を少し眺めた後、冷たい声音で返した。
 「何の御用ですか。営業1課の新井主任が営業4課の私などに」
 刺々しい言い方に、新井は小さく舌打ちした。
 営業1課は会社の利益の要であり、営業の花形だ。
 それに比べ、営業4課は派手な仕事もなければ、大きな利益も稼ぐことはできない、どちらかといえば縁の下の力持ちのような存在だ。
 個人利用者のところへ赴き、メンテナンスなどをして契約を繋ぐという、かなり地味な仕事なだけに、営業1課の人間からは同じ営業として軽視されている。
 特に新井は営業4課のことを「地味なヤツ等」などと言って笑っている。
 屋代は当然それを快くは思っていない。
 何より腹立たしいく感じているのは、新入社員にそれを吹き込んでいることがあり、営業4課に所属するのを敬遠する社員がチラホラいることだ。
 確かに仕事は地味かもしれないが、自分の働く会社が愛され続けるように尽力する仕事に遣り甲斐がないはずがない。
 屋代は新井が大嫌いなのだ。
 「お前の営業4課B班は目標達成したんだろう?」
 「ええ。昨日達成しましたが」
 「申し訳ないんだが、神奈川支所全体の営業目標達成までまだある。営業4課でももう少し頑張ってくれないか」
 疲れの色が濃い新井の顔を眺めると、屋代は目を伏せた。
 「聞いていますよ。営業1課の成績が思わしくないようですね」
 言いながら、パソコンで起動させていたメールソフトに入力し始めた。
 飄々としているいつもの屋代の変わらない態度に、新井は苛立ちを隠さずに再び舌打ちした。
 「ああ、今のままのペースだと、目標達成はできない。そうなれば、神奈川支所全体の目標達成もならなくなる」
 「今月の主任会議の命題は、支所全体の目標達成でしたか…来月は年末ですし。わかりました。引き受けましょう」
 屋代のその言葉に、新井は安心したのか、溜め息をついた。
 「できれば新機種のRX-2を設置して貰いたい。アレを売っておかないと、上から何を言われるか…」
 腰に手をあてて言った新井の言葉に、屋代は目を剥いた。
 「RX-2!?あの新機種は法人・企業向けの機種でしょう!私達は営業4課ですよ!?」
 「アレを売っとかないとヤバイのは、お前だって知ってるだろ」
 「知っていますが…無茶苦茶な!」
 「1台だ。1台だけでいい。1台出れば目標達成も近くなる」
 そう言われ、屋代は眉間のシワを深くした。
 「わかりました。奥の手を使いましょう。言っておきますが、これは貸しですから。きっちり返してもらいますよ」
 鋭い半眼で見られ、新井はたじろいだ。
 「今度、酒でも奢るよ」
 「酒はご遠慮します。そうですね…そろそろ安藤に後輩が欲しいところです。今年の新卒の滝山君でしたか。彼がいいですねぇ」
 「馬鹿言うなっ!滝山は今大事に育ててる最中なんだぞ!」
 声を上げて抗議する新井に、屋代は目を細めた。
 「はっはっはっは。面白いですねぇ。さぁさぁ、これからRX-2を設置しなくてはならないんですから、邪魔者は上のフロアに帰ってください」
 しっしっと手を振って追い出され、新井は憤りを抱えたまま営業4課を出た。
 その後ろ姿を確認すると、屋代はパソコンのメールソフトに再び打ち込み始めた。
 宛先は、部下の安藤の携帯電話だ。


 リビングのテーブルの上に置いていた携帯電話が音を立ててメールの着信を告げた。
 安藤は飼い猫のマキを抱えたまま、携帯電話を取った。
 送信先のが屋代であるのを確認すると、安藤はすぐにメールを読み始めた。
 その内容に、自然と眉が歪む。
 「…なんで?」
 首を右に傾けると、マキが安藤の腕の中から抜け出した。
 ニャーンと甘えた声を上げた。どうやら、同居している高田が風呂から上がってきたようだ。
 「風呂、空いたぞ」
 安藤がソファーに座ったまま振り向くと、高田は寝巻きにしているジャージを着ていた。
 首にはタオルを下げている。
 安藤はその姿を見ると、顎に手を当てて目をすがめて高田を眺めた。
 「アサト。ちょっとちょっと」
 安藤は高田に近付いていくと、羽織っていたジャージを脱がせ、下に着ていたTシャツも脱がしにかかった。
 「え。キヨ…」
 Tシャツを捲る安藤を見下ろす高田の瞳に、徐々に熱が帯びてくる。
 このところご無沙汰だった恋人同士の触れ合いが始まるのかと思いきや、安藤は高田から離れて携帯電話を構えた。
 カシャと音がする。
 「よし。こんな感じかな」
 「え?」
 Tシャツが片腕だけ脱げていない状態で静止したまま、高田は安藤を見詰めた。
 「はい、そうしーん」
 言いながら、安藤は携帯電話のボタンを押した。
 「き、キヨ?」
 「んー?」
 高田は片腕だけTシャツを通したまま、ソファーに座り直した安藤に近寄った。
 「もしかして今の、誰かに送ったの?」
 「うん。屋代主任が仕事で使いたいから写メを送れって言うから」
 「ああ、そう」
 なぜ自分の半裸の写真が仕事で必要なのか、高田は安藤に問い質したかったが、安藤が毎週楽しみにしている深夜ドラマが始まってしまった為、高田は黙って安藤の隣に座った。
 安藤はオープニングからエンディングまで、微動だにせずに見るタイプだ。
 今、何かを質問したところでしっかりした答えが返ってくる可能性は低い。
 けれど、高田は自分の半裸の写真がなぜ必要なのか、とても知りたかった。
 「なんで、服を脱いだ写真じゃなくちゃいけないの…かな」
 いつもより若干丁寧な言葉遣いになってしまった高田に気付きもせず、安藤は生返事を返す。
 「んー?屋代主任がお前の半裸写真を使うからって、メールがきたから」
 主任命令だからといって、男の半裸写真が欲しいと言われて本当に送るか?普通。と高田の眉間に皺が刻まれる。
 「大丈夫大丈夫。黒澤主任じゃなくて、屋代主任だから。オカズになんかされないよ~」
 安藤は高田の渋面をチラリと見た後、CMが終わったテレビ画面の方を向いた。
 「なんかの契約の切り札にされるくらいじゃない」
 「それ、もっと悪いだろっ!!!」


 屋代は、すぐに送り返されてきた安藤からの写真を少し手直しして、制作中のメールに添付し、自分が担当している顧客へと送信した。
 送信先の顧客は、主に女性向けの漫画を制作している漫画家だ。
 この漫画家は上客の1人だ。
 機械オンチで、クラッシャー。1週間に1度はメンテナンスに伺わなくてはならない。
 無類のイケメン好きで、以前継続契約が危なくなったところを、冷徹な美貌を持つ屋代が担当を変わった途端に継続契約書にサインした。
 そんなクセのある顧客だが、上客の1人だ。
 …というのも、よくリースしているコピー機やプリンターを壊すので、新しい機種に変更することが多い。
 その為、新契約を結ぶことが多くあるからだ。
 しかも、画像が綺麗であることに情熱を注ぐ、こだわりのある漫画家であるため、新機種を薦めれば4割の確率で契約が成立する。
 なんともオイシイ上客だ。

 屋代は新機種のRX-2のパンフレットを持って漫画家の仕事部屋を訪れた。
 今は深夜11時30分。
 この時間に顧客に訪問するのは普通ならば非常識だが、この顧客に限ってはよくあることだった。
 深夜に仕事をしていて、突然プリンターやコピー機が動かなくなったというメールや電話は4日に1度はあるからだ。
 今日もコピー機の調子が悪いと連絡が入った。
 その返信メールに、安藤から送ってもらった写真を添付した。
 今頃発狂しているだろう。

 インターホンを押すと、訪問客が誰なのか確認もせずにドアが開いた。
 「屋代さん!!メールのあれ、何!?」
 黒ブチ眼鏡をかけた流行のボブカットの女が、ドアを開けた瞬間に叫んだ。
 「浅田先生。深夜ですのでお静かに…」
 ニッコリと営業スマイルで屋代が言うと、女漫画家浅田は屋代をマンションの部屋の中へと招きいれた。
 屋代は靴を脱ぎ、勢い良く仕事部屋へ向かった浅田の後をゆっくり歩く。
 「浅田先生、コピー機の調子が悪いということでしたが…」
 言いながら仕事部屋へと入って行くと、一番部屋の奥にある浅田の机の周りに、3人の女がたむろしていた。
 浅田のパソコンに、屋代が送りつけたメール画面が開かれている。
 浅田は部屋の中央で自分のパソコンを指差すと、声高に叫んだ。
 「あの画像、何で右半分しかないの!?」
 「おや。右半分しかありませんでしたか?修羅場を迎えている浅田先生を元気付けようと、部下に頼んで写真を撮ってもらったものなんですが…処理をミスしたようですね…」
 顎に手を当てて淡々と言う屋代に、浅田は髪を掻き毟った。
 「右半分だけの画像でもわかるわ…この柔らかそうな少し長めの猫毛の髪に、風呂上りのようなツヤ、少ししか見えてないけど、突然写真を撮られて困惑しているけれども優しそうな目…イケメンよ!!」
 そう言って髪を振り乱す浅田に、アシスタントの1人が目を輝かせた。
 「さすが浅田先生のイケメンレーダー!!」
 「しかも、部下に頼んでって言ったわよね?」
 と、浅田は乱れた髪の毛の下から屋代を見上げる。その姿はまるでホラー映画の幽霊のようだ。
 「ええ。部下が中学からの友人とルームシェアをしていまして。その友人の写真です」
 再びニッコリと営業スマイルを見せると、浅田はヨロヨロとパソコンへと近寄って行く。
 「半分しか見れないけど、現実に存在する優しい面差しのイケメン…やろうと思えば、違う角度の彼が拝めるかもしれない…」
 「そうですね。私の部下に頼めば」
 再びニコリとすると、浅田は屋代を振り返った。
 「ふふふふふふ…その黒い鞄の中に、コピー機のパンフレットがあるんでしょう?丁度替え時期だものね…」
 「そうですね。浅田先生の消耗サイクルからすると、そろそろですが」
 「負けたわ!!早く契約書を出して!判子を押すから!!!!」
 浅田が泣き叫ぶように言うと、屋代は自分の黒い鞄からRX-2のパンフレットと契約書を取り出した。
 「毎度毎度思うけど、恐ろしい人よね…屋代さんって」
 と、浅田のアシスタントの1人が呟いた。
 「弱いところを確実に責めてくるってところが…」
 顔を覆いながら別のアシスタントが嘆くように言う。
 「しかも、絶対にこちらから新機種に変えて欲しいって言わせるのよね…」
 溜め息をつきながら言った言葉に、アシスタント3人は苦笑した。
 それでも、半裸のイケメンが見たい。
 「さあ、契約書に判子を押したわよ!早くちゃんとした画像を送って!!!」
 契約書を持って屋代の目の前に押し付ける浅田に、屋代は極上の笑顔を送った。


 翌日の朝、RX-2が発注を掛けられ、神奈川支所はどよめいた。
 それもそのはず。
 RX-2の契約ができるはずもない営業4課からの発注だったからだ。
 営業4課は始業から発注ミスではないかと電話が鳴り、屋代が淡々と発注ミスではないことを告げた。
 「あのぅ、屋代主任。もしかして…昨日のメールは…」
 安藤が屋代のデスクの向こう側から小声で問いかけてきた。
 「ああ、昨日は助かったよ、安藤。おかげでRX-2の契約が取れた」
 「あのぅ。RX-2って、企業向けの機種ですよね?俺たち4課が契約とるもんなんですか?」
 安藤のごく普通の問いに、屋代は笑顔で答える。
 「今回のは仕方なくだ。神奈川支所全体の目標達成が危うくてな。1課の新井主任に1台でいいから契約とれって言われたんだよ」
 疲れるとばかりに肩をほぐすように回す屋代の横で、内木が笑った。
 「言われたの、昨日の終業後ですよね?その数時間後に契約とっちゃうんだから、スゲーよな。安藤」
 「本当ですよ!」
 安藤が力を込めて言うと、屋代は苦笑した。
 「でも、あの浅田先生だからな。裏の手だよ。ああ、そうそう。契約のお礼にもイケメン画像をあげることになってるんだ。申し訳ないが、もう一回頼んでもいいか」
 尊敬する屋代に言われ、安藤は笑顔で頷いた。
 「今度はどんなのがいいですかね?」
 「そうだなぁ。寝顔とかがいいんじゃないか。ヨダレ垂らして喜びそうだ」

 終わり


 後日談
 その後、浅田から屋代宛に漫画雑誌が送られてきた。
 浅田のBL漫画が載っている雑誌だ。
 屋代はそれが入った封筒を安藤に手渡しながら
 「どうやら送った画像の高田君をモデルにして漫画を描いたらしい。大好評で、連載されるそうだ」
 と低い声音で呟いた。
 安藤はそれを持って誰も使わない非常階段の踊り場に行き、読み始める。
 センターカラーの扉絵では、高田に良く似た男が、純和風の一軒家の前で、長髪のイケメンと笑顔で話している。
 この長髪のイケメンの顔も、どこかで見たことがあるような顔だ。
 読んでいくと、高田の相手のイケメンは、純和風の一軒家に住むフランス帰りの帰国子女で、翻訳家。
 高田と翻訳家は、友達の関係であったが、紆余曲折あって恋人関係になる。
 安藤は漫画を読み終えると、額にびっしりと浮いた汗を手の甲で拭く。
 「浅田先生、高田君を出先で見かけて、尾行して、たどり着いた先がそのイケメン翻訳家がいる純和風の一軒家だったらしい。
これは怪しい。怪しいぞと妄想が膨らんで――そうなったらしい」
 突然頭上から声が降りかかり、安藤は驚いて顔を上げた。
 屋代だった。
 「ルームシェア、解約した方がいいんじゃないか?」
 屋代はそう言うと、扉を開けてビルの中に入っていった。
 「どどどどどど…それは、どっちの意味なんですかね?」
 安藤は高田との関係がバレているのか、それとも男に走る友達とは生活を一緒にするなと言いたいのかわからず、オロオロと階段を上がったり降りたりを繰返えした。

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